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中国経済の「底」が完全に抜けた! 官製「爆買い」の裏で、外資は逃げ出し、貿易額は減るばかり 社会主義の重圧に市民はもう耐えられない-海外旅行自力旅 [海外情報・ニュース・世界情勢など]

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出典:http://news.yahoo.co.jp/


11月11日の官製「爆買い」キャンペーン

 「カウントダウン、3、2、1、開始!」

 「中国の楽天」こと阿里巴巴(アリババ)が行った11月11日のネット通販大セールイベントは、24時間で912億1,700万元を売り上げた。邦貨にして、1兆7,600億円! 阿里巴巴創業者の馬雲総裁は、「中国経済の誇りを世界に示した」と胸を張った。 この中国国内の「爆買い」は、日本のテレビニュースでも、中国人の消費の凄まじさを物語る現象として、繰り返し紹介された。 






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出典:http://www.sankei.com/


 11月11日は、今年の中国では「双11」(二つの11)と呼ばれたが、昨年までは「光棍節」(お一人様の日)と言った。文字通り、「(一という)棍棒が光る節句」で、家族や恋人のいない寂しい人にスポットライトを当てる日だ。 思えば、「光棍節」が一番盛り上がったのは、「1」の数字が6つ並んだ2011年だった。

 当時、私は北京に暮らしていたが、「和諧社会」(あらゆる人々が調和をもって暮らす社会)をキャッチフレーズにしていた胡錦濤政権は、この2011年11月11日を、官製メディアを総動員して、「お一人様の日」として大いに盛り上げた。 例えば、この日に一人でレストランへ行くと、食後のアイスクリームをサービスされたり、普通盛りが大盛りに変わったりした。私がこの日の晩に食事した東城区にあるスペインレストランでは、一人で来た客を、誕生日でもないのに、「ハッピーバースデートゥユー♪」と店員たちが盛り上げていた。 その晩、私と会食していた中国人は、こう説明したものだ。

 「折からのユーロ危機によって、輸出に頼っていた全国の中小製造業が大打撃を受けた。それで第一に、政府は何とか輸出中心から消費中心に経済構造を変えたい。そこで、眠っている消費を煽るイベントの日にしたわけだ。

 第二に、若年失業者が急増していて、このままでは全国各地で若者の暴動が起こるリスクがある。それで、寂しい青年たちを慰めるキャンペーンを行ったのだ」
2011年当時、中国国民の消費意欲は、いまよりずっと旺盛で、政府主導のキャンペーンなど必要ないだろうと思われた。それでも中国政府の目標は、そこはかとなく達成されたように見受けられた。

 例えば、インターネット規制が厳しい中国において、この一時期だけ、海外のエロサイト閲覧の規制が緩和された。それで一気に人気に火がついたのが、日本のAV女優・蒼井そらだった。中国の青少年たちは、蒼井そらの「肢体」に夢中になった。

 当時は、中国各地へ出張に行くと、決まって「もしかして碧井そらの知り合いですか?」と聞かれたものだ。「会ったこともありません」と正直に答えると、 ガックリされる。北京のセブンイレブンの店員にさえ、「今度日本に帰国したら、蒼井そらのDVDを買ってきてほしい」とせがまれたことがあった。

 この2011年の「光棍節」の1ヵ月前に、「胡錦濤政権vsアリババ戦争」が勃発した。

 同年9月下旬、浙江省温州市最大のメガネ工場、信泰グループの社員1000人以上が、6車線の目抜き通り類東大街で大規模な街頭デモ行進を行った。彼らがデモを起こした理由は、輸出不振に陥った同社の胡福林社長が、8億元の負債を抱えたまま夜逃げしたことだった。

 この事件は、直ちに中南海の「政局」となった。製造業が密集している浙江省は、中小企業の倒産が相次ぎ、信泰グループ社員を皮切りに、デモが続発した。

 そんな中、浙江省の企業で「一人勝ち」していたのが、アリババだった。アリババの背後には、浙江省党委書記(省トップ)を2002年から2007年まで 務めた習近平副主席がいた。胡錦濤政権にとって、アリババを叩くことは、1年後に迫った「習近平後継」を阻止し、子飼いの李克強筆頭副首相に首をすげ替え ることにつながったのだ。

 10月初旬の国慶節の大型連休中に、胡錦濤政権ナンバー2の温家宝首相が温州入りし、浙江省の共産党幹部らを叱咤した。しかし本当は、彼らの背後にいる習近平副主席に矛先が向いていたのだ。

 大型連休が明けるや、商務部が急先鋒に立って、「タオバオ(アリババのネット通販サイト)は中小企業を差別するブラック企業である」というアリババ叩きキャンペーンが始まった。

 アリババからすれば、短期間で急成長した最大の理由が、「信用ある会社」と「信用ない会社」を選別してネット上に載せたことだった。それによって、そもそも他者に対して信用がない中国社会において、利用者の信用を勝ち取ったのである。

 ところが胡錦濤政権は、この制度を逆手に取り、「中小企業を不当に差別している」として、「選別」を禁じようとしたのだった。というのは表向きの理由で、真の狙いは「習近平企業」潰しにあった。

 ともあれアリババは最大の危機に陥った。この時、アメリカ出張中だった馬雲総裁は、急遽帰国し、生涯ただ一度の「謝罪会見」を開いた。馬雲総裁は、手のひらに「忍」の字をマジックで書いて、その手のひらを握り締めながら会見に臨んだ。胡錦濤政権に、降伏したのだった。

 そこからアリババは、「B to B」(企業から企業)中心のビジネスを脱却し、「B to C」(企業から消費者)へと急速に軸足を移していった。その起爆剤にしたのが、2011年の「光棍節」だったのだ。この日に大安売りのキャンペーンを行う ことで、一般の中国人に、大いに名を売ったのだった。
「双11」のイベントが物語る中国経済の現状

 習近平時代に入ると、アリババはにわかに「国策企業」と化した。2010年の秋に、私は馬雲総裁にお目にかかる機会があり、「今後のアリババ発展のポイントは何ですか?」と質問した。すると馬雲総裁は即座に、こう答えたものだ。

 「それは中国政府が何もしないでいてくれることだ。私は中国政府に助けてほしいとは言わない。ただ放っておいてほしいだけだ」

 その懸念は前述のように、一年後に現実のものとなってしまったわけだ。一時は「引退宣言」までした馬雲総裁だったが、習近平政権になると完全復活した。

 習近平主席にしてみれば、アリババは自分が浙江省党委書記だった時代に手塩にかけて育てた企業だという自負がある。そのため習近平主席は、馬雲総裁を、まるで年の離れた弟のように扱った。

 馬雲総裁が、「韓国でビジネスがしたい」と言うと、昨年7月に訪韓した際に横に侍らせ、朴槿恵大統領に直接、紹介した。その後、インドのモディ首相に引き合わせたり、この9月の訪米にも同行させている。

 その代わり、昨年7月に習近平政権が、新たなインターネット検閲を開始すると、アリババは「われわれは中国企業として政府の方針に従うべきだ」と模範を垂れて、自社内にわざわざネット警察部門を拡充させたりした。まさに習&馬は、「持ちつ持たれつの関係」なのだ。

 そんな二人が「演出」したのが、今年11月11日の「双11」のイベントだったというわけだ。習近平主席は、中国経済がいかに「夢」に満ちているかを内外にアピールしたかったし、馬雲総裁はそれに便乗してさらに儲けたかった。

 では実際、中国の消費者たちは、どんな思いだったのか。北京にいる知人に聞くと、次のように答えた。

 「私はこの日に備えて3ヵ月以上も、服を買うのを我慢したし、周囲も年に一度の大きな買い物と思って、1,000元(約1万9,000円)分くらいは買っていた。多くの商品が、一日だけ何割引にもなるので、それは買うでしょう」(20代女性、国有企業勤務)

 「私の周囲が一番買っていたのは、この冬のPM2.5地獄に備えた空気清浄機だった。3,000元(約5万7,000円)くらいで、普段より1割から2割安かった。日本製も少し高いが人気だ」(30代男性、公務員)

 こうした声を聞いていると、あの「爆買い」は、普段買い控えている消費者たちが、一日だけ格安だったため、一気呵成にショッピングしたものなのである。換言すれば、中国で普段、いかにものが売れていないかということを如実に物語っていると言えるのである。

 その証拠に、市場は冷静だった。アリババはNY証券取引所に上場しているが、11月11日にアリババ株は額にして79ドル85セント、率にして1.94%も値を下げたのである。
「短期的に外部の需要が大きく改善される見込みはない」

 一方、アリババイベントで盛り上がっている北京市内の会場から、さほど遠くない場所に建つ中国国家統計局は同日、「爆買い」とは程遠い統計を発表した。

 今年1月から10月までの不動産開発会社の土地購入面積は1億7847万㎡で、前年同期比33.8%減。金額は5,794億元で、同25.2%減だっ た。気になるのは、そのうち外資の金額が50.6%も減少していて、外資が完全に中国の不動産投資市場から「逃げ」の状態に入っていることだ。

 全国固定資産投資も、2014年1月~10月は前年同期比で15.9%伸びていたが、今年の1月~10月は10.2%まで落ちた。金額にして、44兆7,425億元だ。これは、全国的にもはや投資の需要がそれほどないことを示している。

 また、10月の工業生産者工場出荷価格は、前年同期比で5.9%も下降した。これは、工業製品の生産過剰が相変わらず深刻だということを物語っている。他にも、10月の購買担当者指数(PMI)は49.8%と、3ヵ月連続で50%を割り込んだ。

 さらに目を覆うばかりなのが、貿易額の減少である。






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出典:http://www.sankei.com

 11月8日に中国税関総署が発表した最新の統計によれば、10月の輸出額は1兆2,263億元で、前年同期比9.0%減。輸入額は8,331億元で、同 16.0%減である。1月~10月では、輸出が11兆4,622億元で2.0%減、輸入が8兆4,647億元で15.2%減だ。言うまでもなく、輸入は消 費に直結し、輸出は経済成長に直結する。それがまさに、「双降」(ダブルダウン)なのである。

 ちなみに貿易額として見れば、10月が前年同期比9.0%減で、1月~10月が8.1%減だ。会見に臨んだ税関総署の黄頌平報道官は、「短期的に外部の需要が大きく改善される見込みはなく、輸出の下振れ圧力は依然として大きい」と、ぶっきらぼうにコメントした。

 中国で伝統的に、半年から一年先くらいの景気見通しを、一番如実に示すと言われているのが、毎年春と秋に開かれる広州交易会である。今年秋の広州交易会 は、11月4日に閉幕したが、契約金額は前年同期比7.4%減の270億1,000万ドルだった。これはリーマンショック後の2009年春と同水準で、 300億ドルをあっさり切ってしまったことに、中国政府は大きなショックを受けた。
習近平政権の中国が抱える大いなる矛盾点

 こうした中国経済の「底抜け状態」を改善しようと、習近平主席はたびたび発破をかけている。例えば、11月9日に招集した「党中央の全面的な改革深化指導小グループ第18回会議」では、次のように力説した。

 「加工貿易を促進し、イノベーションを発展させなければならない。経済発展の『新常態』(新たな正常な状態)に主導的に適応させていくのだ。

 イノベーションの駆動と開放の拡大を動力として、伝統的な有利な点を確固として堅持し、競争力の育成を加速して新たな優勢を築く。加工貿易の政策の連続性と安定性を保持し、企業の主体的作用を発揮し、産業ごとの提携を強め、加工貿易の全世界における地位を上げるのだ。

 沿海地区の転換をうまく促進し、内陸部と沿岸部の産業の転換をうまく連携させ、国際的な産業の提携を秩序立てて展開するのだ。加工貿易の体制機構改革を 深化させ、健全で開放型の経済と管理体系とのマッチングを確立し、だんだんとよくなるようにしていき、貿易大国から貿易強国への転換を推進するのだ」

 おそらく、手を膝に当てて黙って聞いていた李克強首相以下、幹部たちは、「そんなの当たり前だろう!」と思いながら、ジッと耐えていたに違いない。まさに「言之易而行之難」(言うは易く、行うは難し)なのである。

 「双11」の翌11月12日、中国共産党中央機関紙『人民日報』は、「9天打5虎」(9日間で5人の幹部を打倒した)と題した記事を掲載した。そこには、以下のように記されている。

 〈 今年の「双11」は、各家電販売店の他に、党中央紀律検査委員会もまた、記録を打ち立てた。昨日、艾宝俊上海市副市長が「落馬」したのに続き、今日は呂錫文北京市党委副書記が調査を受けた。北京と上海の「トップ級」が相次いで落馬したのだ。

 11月6日には、寧夏のトップ級、白雪山寧夏回族自治区副主席が調査対象となった。これで全国31の省区すべてで、部級以上の「老虎」が落馬したことになる。

 さらに、11月4日には、(国有企業の)中国南方航空の司献民会長が、11月2日には、(国有企業の)東風自動車の朱福寿社長が落馬した。これで9日間で党中央紀律検査委員会は、迅速に5人の虎を捕獲したことになる。(中略)

 (2012年11月の)第18回中国共産党大会以後、党中央紀律検査委員会は、これまで7ラウンドの巡視を展開してきた。巡視したのは、計118地区・ 部門・機関に及び、全国31の省区及び新疆生産建設兵団、中央政府統轄のすべての国有企業、16の中央政府部門、12の事業機関、一つの中央金融機構と二 つの中央政府統轄の大学で巡視を実施してきた。(2013年11月の)「3中全会」で提出されたように、今後もすべてをカバーして巡視を行っていく…… 〉 

 私は今回、捕まった北京市の呂錫文党委副書記に、一度間近で接したことがある。2009年の夏に北京西部の高級ホテルである会合が開かれ、彼女は来賓代表で、私は来賓の末席だったのだ。

 会合が終わって、5階の宴会場から1階へ降りるためエレベータに乗ろうとしたら、たまたま呂副書記が先に乗っていた。彼女は私を認めると、自ら「開」のボタンを押して、閉まりかけたエレベータを開けてくれたのだ。私が礼を言ったら、彼女は微笑んで、エレベータを閉めた。

 さらに1階に着くと、彼女は再び「開」のボタンを押して、私に先に降りるよう促した。同じエレベータには、彼女の部下たちも乗っていたのに、すべて自分 でやったのだ。その物腰を見る限り、『人民日報』が叩くような「厳重な腐敗分子」には思えなかった。もちろん、ただ一時のことで彼女の人となりを判断する ことなどできないことは承知しているが。

 ともあれ習近平主席は、「開放の拡大」を説く一方で、(意に沿わない)幹部を次々と捕らえていく方針を示しているのである。これでは中央、地方を問わず、公務員たちは萎縮していくのも当然だろう。

 つまり、一方で市場主義を唱え、他方で社会主義を信奉することは不可能なのである。習近平政権の中国が抱えるあらゆる矛盾点は、ここに起因していると言っても過言ではない。
社会主義というシステムはここまで大変なのか

 中国のある地方で公務員をしている知人に、このあたりの話を聞いてみたところ、「正直言って、もう社会主義の重圧に、市民が耐えられないよ」と回答してきた。

 その理由は、彼が勤務している県(中国で県は市よりも小さく、日本にたとえれば市町村の「町」くらいの感覚)を例に取ると、計194もの公的機関を、「県民」が支えて行かねばならないからだそうだ。

 彼がせっかく送ってくれたので、以下に市民が支えている公的機関の内訳を列挙してみよう。

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【1.県議会、政協、裁判所、検察院】
県人民代表大会常務委員会、中国人民政治協商会議県委員会、県中級人民法院、県人民検察院
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(この後永遠を公的機関の内訳が続きます)

 中国では地方の小さな町でさえ、町民がこれだけの種類の公務員を背負っているのである。

 彼は、書き疲れてしまったようで、「他にも、幹部公務員の愛人たちだって、税金使って囲ってるんだよね~」と締めくくっていた。

 私も、計194もの公的機関を書き連ねながら、社会主義というシステムを維持するのがいかに大変か、再認識した次第である。

 一つ思い出したことがあった。2012年3月の全国人民代表大会で、前党中央紀律検査委員会副書記の劉錫栄・全国人民代表大会常務委員(法律委員会副主任)が発言した次の言葉だ。

 「中華人民共和国が建国して60数年が過ぎたが、いまだに大量の機構が跋扈していて、幹部と公務員があまりに多すぎる。この『二つの超過』のために、不正腐敗が無限に蔓延っていて、億万の人民の負担は天井知らずだ」

 結局、中国は極力小さな政府を目指し、かつ国有企業を民営化するしか、不正腐敗を断絶し、経済発展していく道はないということである。そしていまの中国 にそれができないため、その将来を悲観視せざるを得ないのである。習近平主席は、ミャンマーのテインセイン大統領にはなれないということだ。


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