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「米中対立時代」の到来か!? 早ければ11月、南沙諸島問題をめぐり両国海軍が一触即発の危機 [海外情報・ニュース・世界情勢など]

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出典:http://www.sankei.com/


「われわれの原則ははっきりしている」

10月13日、米マサチューセッツ州ボストンで行われたアメリカとオーストラリアの2+2(安全保障協議委員会)を終えた後の米豪共同記者会見。ジョン・ケリー米国務長官は、これまでの「親中派」の仮面をかなぐり捨て、厳しい口調で述べた。








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出典:http://www.sankei.com/


 「われわれは今回、東シナ海と南シナ海において平和と安定を維持することの重要性について、深い話し合いを持った。航行と航空の自由は、国際海洋法において最も基本的な原則だ。だからこそわれわれは、この地域においてそのことを促していく。

われわれは決してクレーマーではないが、これ以上の(中国による)埋め立て、建設、土地の軍事活用化を止めさせるために主張していくことにした。それは、相手がどんな大国だろうが関係ない。われわれの原則ははっきりしている。すべての国の権利が海洋法によって尊重されなければならないのだ」 

続いて、アッシュ・カーター米国防長官も、険しい顔つきでこう述べた。 「今回われわれは、ただいま国務長官が述べたような航行の自由、貿易の自由な流れといった基本的な国際慣習を維持する権益を共有していることを確認した。 われわれはまた、特に東シナ海と南シナ海における緊張の高まりに直面する中で、長年確立されている国際慣習を弾圧し、侵害しようとする(中国の)動きに対して、平和的な解決を希求するものである。

 (中国は)見誤ってはならない。アメリカは、世界中の国際法が許すあらゆる地域を飛行し、航行する。それは現在の南シナ海も例外ではないし、今後の南シナ海も例外ではない。 これは単に、アメリカがコミットするだけではない。アメリカとオーストラリアは、多くの隣国の国々と歩調を同じくするものだ。日本、フィリピン、インド、ベトナムなども含まれる。どの国も地域の繁栄のために、解決を望んでいるのだ。 そしてアメリカは、この地域の安全保障の中枢を担うパートナーとしての役割を継続していく覚悟だ。それは過去70年間、アメリカがこの地域で果たしてきた使命と同様の役割だ」


オバマ政権が発足してすでに6年半が経つが、国務長官と国防長官が揃って、これほど強い形で中国を牽制したのは、初めてのことだ。


中国はスプラトリー諸島(南沙諸島)の岩礁を次々に埋め立て、人工島を建設中である。


ヒューズ礁(東門礁)、ファイアリー・クロス礁(永暑礁)、ミスチーフ礁(美済礁)の3ヵ所では、大規模な軍事用滑走路を建設中。その他、ガヘン礁(南 薫礁)、クアルテロン礁(華陽礁)、エルダット礁(安達礁)、ジョンソン南礁(赤爪礁)、スービ礁(渚碧礁)などを埋め立て、人工島を建設中であることが 確認されている。

9月下旬には、これらの岩礁を、呉勝利海軍司令員(海軍トップ)が、中国艦隊を率いて視察したという。また10月9日には中国交通運輸部が、クアルテロン礁とジョンソン南礁に、それぞれ高さ50mの灯台を建造し、その完成式典を現地で開いた。

 南沙諸島は中国の他に、台湾、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイが領有権を主張しているが、中国はまさに、南沙諸島全体の実効支配を、着々と進めているのである。


 だがこうしたことで、中国はアメリカを、本気で怒らせてしまった。これ以上、黙視していては、アメリカの沽券にかかわるというわけだ。


 9月下旬に習近平主席が訪米した際には、オバマ大統領が習近平主席を激しく非難した。この時がオバマ大統領と習近平主席の、6回目の会談だったが、オバマ大統領が習近平主席をこれほど激しく非難したのは、初めてのことだった。


 具体的には、オバマ大統領は習近平主席に対して、次の3点を宣言した。


 ①南シナ海に関しては、近くアメリカ軍の艦隊を派遣し、中国側が建設した埋立地の12海里(約22㎞)の海域へ入り、かつ埋立地の上空を飛行する。これは本来は習近平主席の訪米前に行う予定でいたが、ライス大統領安保担当補佐官の建議によってストップさせていた。

 ②南シナ海および東シナ海で、同盟国および友好国との協力関係を一層強化する。それには、日本、韓国、フィリピン、ベトナム、インド、オーストラリアなどが含まれる。

 ③サイバーテロに関しては、すでに中国に対して報復措置を行ったが、中国が改めないならば、さらに広範な報復措置を取る。

 アメリカは周知のように、すでに大統領選モードに突入しており、オバマ政権が少しでも中国に対して弱腰の態度を見せれば、すぐさま民主党・共和党問わず、後ろから矢が飛んでくる。だからオバマ政権は、中国に対して強硬にならざるを得ない。


 9月にアメリカ海軍制服組トップの作戦部長に就任したばかりのジョン・リチャードソン作戦部長は、「就任挨拶のためのアジア歴訪」を開始した。実際は、来たる中国との南沙諸島での「対決」の事前ブリーフィングが目的だ。


 リチャードソン作戦部長は、アジア歴訪の最初の訪問地、東京で、10月15日に会見に臨み、舌鋒鋭くこう語った。

 「国際法で認められている海域でアメリカ軍が航行することを、中国がなぜ挑発行為と非難するか理解できない」


 国際海洋法では、人工島は領土とみなされないことを受けての発言だった。


 実際、アメリカ軍とフィリピン軍は10月1日から9日まで、マニラ近郊の海軍基地などで、合同軍事訓練を行っている。両軍の海兵隊員ら約1500人が、 中国が建設を進める人工島を想定し、海岸から小型ボートで上陸し、敵地を攻撃する訓練だ。日本から自衛隊幹部も現地に赴いて視察したという。


 このようにアジアの海が緊迫するのは、1995年-1996年の台湾海峡危機以来である。当時、台湾で初の総統直接選挙が実施され、独立派の李登輝総統 が再選される可能性が高まっていた。そのため、江沢民政権は大艦隊を台湾海峡に送り込み、ミサイル発射実験などで恫喝した。


 台湾はアメリカに救援を要請。クリントン大統領は、空母ニミッツとインデペンデンスを派遣し、台湾海峡で米中が対峙した。だが、両軍の軍事力の差は圧倒的で、人民解放軍が撤退して危機は去った。


 それから19年経って、米中は再びアジアで危機を迎えた。早ければ11月にも、南沙諸島で米中が一触即発となる可能性が出てきたのである。


 そもそも、なぜ米中関係は、かくも「漂流」してしまったのか。いまの米中関係の分析について、10月12日付『日本経済新聞』のオピニオン欄に、大変優れた寄稿文が掲載されたので紹介したい。筆者は、米エール大学シニアフェローのスティーブン・ローチ氏だ。


 ローチ氏はまず、現在の米中関係をこう捉える。


 〈 米国と中国は持続的な経済成長のため、ますますお互いに頼るようになり、典型的な「共依存」(お互いの関係性が過剰依存し、とらわれている状態)のわなに陥ってしまった。そしてゲームのルールが変わったことに苛立っている。 〉

 米中の国交が正常化したのは、1979年のことである。アメリカはベトナム戦争後のスタグフレーションに苦しみ、中国は10年に及んだ文化大革命の後遺 症に悩んでいた。その両大国が手を組み、アメリカ企業が中国に進出して安価な製品を作り、アメリカに売るという共存システムを確立した。続いて中国が外貨 を蓄え出すと、中国はアメリカ国債を大量に購入してアメリカ経済を支えた。

 ローチ氏は続ける。

 〈 しかし経済的な共依存は人間の共依存と同じくらい不安定だ。いずれ一方のパートナーは変化し、もう一方は置いてきぼりにされ、嘲笑されていると感じるようになる。 〉

 ここで言う「変化」とは、中国の急速な台頭を指す。経済発展モデルが輸出主導から消費主導へと移行し、南シナ海で力を誇示し、AIIB(アジアインフラ 投資銀行)新設などで国際金融システムを変えようとしている。それによって、両大国の関係にも変化が見られるようになってきたのだ。

 〈 米国の対応は中国を神経質にさせた。米国の「アジア軸足(ピポット)戦略」は、中国を封じ込めるという意味を言外に含む。 〉

 そうした中、9月22日から25日まで、習近平主席が国賓としてアメリカを訪問した。

 〈 習主席は9月22日に米シアトルでの講演で、米国と中国が「戦略的意図の相互理解」を深めることが必要だと強調した。しかし、3日後の米中首脳会談には、まさにその点が欠如していた。

 共依存のクモの巣にからまった米中関係は、摩擦と非難に満ちたものになった。人間の行動において、こうした病理が通常行き着くところは、痛みを伴う別離だ。米中首脳会談も、この可能性を排除できなかった。 〉

 図らずも、習近平主席の訪米は、「米中対立時代の到来」を世界に印象づける結果となってしまったのである。

「守りの外交」を余儀なくされる中国

 結果的に、こうした流れに一番うまく乗っかった形となったのが、日本の安倍晋三政権だった。

 10月7日に発足した安倍改造内閣は、下着ドロボー大臣やらヤクザと親密な大臣やらが暴露され、早くも迷走気味だ。だがこと外交に関しては、きっちり上述のような「2015年のアジアの潮流」を捉え、その流れに見事に乗っている。

 具体的に言えば、軍事面では9月19日に安保法を整備し、経済面では10月5日にTPP(環太平洋パートナーシップ協定)の基本合意に達した。

 この軍事と経済の「両輪」によって、これから本格的に南シナ海に「介入」しようとしているアメリカに寄り添う頼もしいパートナーとして、アジアでにわかに存在感が増しているのである。

 同じ東アジアにおけるアメリカの同盟国でも、中国に擦り寄ってきた韓国は、アメリカから「矯正」されるハメになった。朴槿恵大統領が訪米し、10月16日にホワイトハウスで米韓首脳会談を行ったが、オバマ大統領は次の3点を、朴大統領に突きつけたのだった。

 ①北朝鮮という危険な共通の敵に向けたアメリカとの軍事同盟の強化

 ②中国への過度の接近からの修正

 ③同じアメリカの同盟国であり、自由・民主の価値観を共有する日本との関係改善

 ③の日韓関係について言えば、10月31日か11月1日にソウルで行われる安倍首相と朴槿恵大統領の初めての日韓首脳会談が、こうしたアメリカの要求に韓国がどれだけ答えられるかの試金石となる。

 一方、アメリカに睨まれた中国は、「守りの外交」を余儀なくされている。このままアメリカ艦隊が南シナ海に押し寄せれば、当然ながら、中国海軍は太刀打ちできない。

 前述のように、1996年の台湾海峡危機では、ニミッツとインデペンデンスという2隻の航空母艦が台湾海峡に向かい、中国軍はお手上げとなった。あの時 に較べると、人民解放軍は格段に進化したが、やはり現在においても、アメリカ海軍とガチンコで戦えるほどの戦力は持っていない。なにせアメリカの軍事費は 圧倒的に世界一で、2位の中国から10位までを合わせた額よりも多いのだ。

 だが、そうかといって、中国がアメリカに怖じ気づいて、いまさら南シナ海の埋立地を元に戻したりすれば、東南アジア諸国には感謝されるだろうが、習近平政権が国内で保たなくなる。だから表向きは、アメリカに対して、あくまでも強硬な態度で臨まざるを得ない。

 そこで中国は、周辺外交をソフト外交に転換させる戦術に出た。中国語には、「多一個朋友、多一条路」(友達が一人多ければ、開ける道が一本多くなる)という諺がある。この言葉を地で行く戦術に出たのである。

 具体例を挙げれば、これまで「敵国扱い」だった日本および北朝鮮との関係改善を図り始めたのだった。

外交分野の最高責任者が「訪日」

 まず、中国の対北朝鮮外交の変化から見てみよう。

 9月3日に習近平主席は、北京で「抗日戦争勝利70周年軍事パレード」を挙行した。中国の外交関係者によれば、習近平主席は最後まで、金正恩第一書記の参加にこだわったという。

 それは、中朝両国が1950年代の朝鮮戦争を共に戦い、1961年に友好協力相互援助条約を結んだ軍事同盟関係にあるからだ。この条約は、「両締約国が改正または終了について合意しない限り、引き続き効力を有する」(第7条)という半永久的軍事同盟なのである。

 ところが、8月に入っても北朝鮮から「参加」の回答は来ない。中国は、経済援助の縮小などのカードをちらつかせて、北朝鮮に返事を迫った。ついに北朝鮮 は8月下旬になって、「(韓国との)準戦時体制に入ったので、最高司令官である金正恩第一書記は国外へ出られない」と返答してきた。

 代わって北京にやって来たのが、崔竜海書記だった。金日成主席の盟友だった崔賢国防相の次男である崔竜海書記は、2013年5月に訪中した時、習近平主席との間に一悶着あった。

 当時、朝鮮人民軍で金正恩最高司令官に次ぐナンバー2の軍総政治局長だった崔竜海は、習近平主席との会談に際して、軍服にこだわった。だがその3ヵ月前 の北朝鮮の核実験に激怒していた習近平主席は、平服でないと会見に応じないとした。この服装問題で中朝会談がご破算となる一歩手前まで行ったのである。こ の時は、崔竜海が涙を呑んで妥協した。

 その崔竜海書記が、2年4ヵ月ぶりに訪中した。習近平主席は表向きは、崔書記を相手にしなかったが、カメラを入れずに非公式で会見したという。そして北 朝鮮が何よりも重視する10月10日の朝鮮労働党創建70周年を祝う軍事パレードには、中国共産党ナンバー5の劉雲山党中央政治局常務委員を派遣し、北朝 鮮との関係改善をアピールしたのだった。

 日本に対しては、習近平政権で外交分野の最高責任者である楊潔篪国務委員(前外相)を派遣し、関係改善を模索した。

 10月15日に首相官邸を表敬訪問した楊国務委員は、安倍首相と会談した。だが安倍首相は、南シナ海の埋め立てに関して中国を非難したのはむろんのこと、中国が「南京大虐殺」を国連記憶遺産にゴリ押ししたことについても抗議したのだった。

東シナ海の実効支配を許してはいけない

 さて、今後の展開だが、日本は安保法制を整備したからと言って、南シナ海の紛争に、自衛隊を派遣するのは、明らかに時期尚早だろう。アメリカ軍はもしかしたら派遣を求めてくるかもしれないが、日本としては慎重になるべきである。

 それよりも、日本がまず優先すべきは、東シナ海における中国のガス田開発を、ストップさせることだ。

 2008年5月に、胡錦濤主席(当時)が来日し、福田康夫首相との間で、東シナ海のガス田を共同開発することで合意した。翌6月には、日中当局の実務者協議が開かれている。それなのに中国は、昨年頃から勝手にガス田開発に乗り出したのだ。

 今年7月に日本外務省がホームページで、その模様を撮った写真を公開したが、中国が日中中間線近くに、計16基もの建造物を建造中であることが明らかになった。中国は南シナ海ばかりか、東シナ海においても、着々と実効支配を進めているということだ。

 日本としては、この中国が進めるガス田開発を、「2008年の状態」にまで戻すことが、何よりの先決問題だ。それには、アメリカと中国と東南アジアの3方を睨みながら、かなり高度な外交手腕を展開しなくてはならない。

 日本にとって追い風となっているのは、習近平政権が発足以来初めて、日本を正視し始めたことである。これまでの習近平政権の対日外交は、簡単に言えば、 「日本の親分であるアメリカと中国が決めれば、日本はそれに付き従ってくる」というものだった。つまり、日本は「アメリカの一部」のように捉えられていた のである。

 それが、アメリカ軍が南シナ海に迫ってくるという危機感の中で、中国は対日外交を急転換させつつある。その証拠に、これまで重要な日中交渉というのは、常に北京で行っていた。それが今回、楊国務委員が、習近平政権発足以来、「初来日」したのである。

 日本としては、次は習近平主席の早期の訪日を求めて、その際の「目玉」に、東シナ海のガス田の共同開発を持ってくるというのも悪くない。

 ともあれ、このまま行けば中国は、南シナ海の「埋め立て→実効支配」という「成功体験」を、次は東シナ海においておっ始めるのは、火を見るより明らかだ。日本としてはそうなる前に、これを阻止する手立てを考えておかねば手遅れになってしまう。

 重ねて言うが、日本としては、南シナ海問題を「利用」して、東シナ海問題における妥協を迫る外交を展開していくべきである。



非常に長い記事でしたが、本当にその通りで南シナ海問題の先で東シナ海での問題への展開が望ましいです。
完全に他国への配慮など思考の中に存在しない行動の為、その凶行をアメリカや国際社会からの制裁しか方法がないと思われます。

そうでなければ完全な軍事衝突になるため、ここは必ず成し遂げたい事項だと思います。

政府のブレーンの皆さんお願いします。



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出典:http://www.sankei.com/









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